【3・16】戸田城聖は、「創価学会は宗教界の王者」とは語っていなかった

 1958年3月。創価学会日蓮正宗に寄進した大講堂の落成式典が開催されていた。
 当時、創価学会日蓮正宗の信徒団体だった。

 

 3月16日には、時の総理大臣であった岸信介を招き、歓迎大会が予定されていた。
 しかし、自民党議員の横やりが入り、結局岸信介大石寺を訪れなかった。

 

 岸は、統一教会とも深い関係があったが、創価学会とも付き合いがあったのである。さすが、「妖怪」である。

 

 この時、岸は代理として娘婿であった安倍晋太郎らを大会に派遣した。
 その際、創価学会の会長であった戸田城聖は、挨拶した。
 当時の「聖教新聞」(1958年3月21日号)は、次の通りである。

 後年、この大会で戸田城聖は「創価学会は宗教界の王者である」と語ったとされている。

 しかし、当時の「聖教新聞」を確認してみると、そのような発言は確認できない。

 実際の発言として記録されているのは、次の通りである。

 同じ岸系といってもいろいろあるがだな、ここらでへたくそにたった代議士の応援なんかやるなよ。私は宗教団体の王様なんだから(拍手)岸先生は政治団体の王様なんだ。(拍手)立場が違うだけです。ただ人間を理解し合えばいいんだよ。(拍手)

 

 一読して分かるように、戸田は自身を「宗教団体の王様」と語り、岸を「政治団体の王様」と持ち上げているのである。

 創価学会という組織を、「王者」とは語っていない。

 

 ちなみに、『戸田城聖全集 4』(1984年)では、微妙に口調が上品に修正されている。

 同じ岸系といっても、いろいろある。ここらでへたくそに立った代議士の応援などやらないように。私は宗教団体の王様なのであり、岸先生は政治団体の王様なのです。立場が違うだけです。ただ人間を理解しあえばいいのです。

 

 「永遠の師匠」である戸田城聖の発言を創作したり、勝手に修正したりするのが創価学会なのである。